日本南大洋生態系研究プロジェクト Japanese joint Research
on East Antarctic Ecosystem STructure
(JR-EAEST)

ハダカイワシを介した食物網

南極海の生態系・食物網を論じるとき、最も重要な生物はナンキョクオキアミEuphausia superbaといってもよいでしょう。ナンキョクオキアミ(以下オキアミ)の生物量は4億トン以上とされ、ペンギンやアザラシ・オットセイ、鯨類など様々な大型動物の餌生物として重要です。したがって、オキアミの生物量の変動はこれらの大型動物の個体群変動に直結します。

しかし、このオキアミは南極海にいつでもどこでも豊富に分布しているわけではなく、最近の推定では南極海全体のオキアミの70%程度が大西洋側のスコシア海から南極半島周辺の、面積でだいたい25%の海域に集中していることが分かってきました。つまり、我々が観測を行っている東南極を含む大部分の南大洋ではオキアミはあまり分布していないことになります。

このような海域では、ハダカイワシ類が大型動物の餌となっているという証拠が集められ、近年ではオキアミを介さない、ハダカイワシやカイアシ類という動物プランクトンを中心とした食物網も提唱されるようになりました。我々のチームも、このハダカイワシという魚に着目し、とくにその仔魚(しぎょ、卵がふ化してから最初の発育段階の呼び名)の生活史を研究対象のひとつとしています。

この仔魚期は、体が脆弱なことから物理的、化学的、餌生物の分布など環境に影響を受けやすく、彼らの初期生活史を知ることは、環境変動がどのようなプロセスでハダカイワシの個体群変動に影響を及ぼすかを知る手がかりになります。このハダカイワシの個体群変動が大型動物の個体群変動に影響するかもしれません。

南極海の代表的なハダカイワシ科魚類の1種Electrona antarctica

Electrona antarcticaの仔魚(体長16.0 mm)

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